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ガレージシャッターのリモコン取り付け(2022.4.28)

 
世田谷区内有数の高級住宅街にお住いの方からのご依頼です。
ご自宅敷地内にあるこのガレージは、開閉(昇降)しなくなっていた
シャッターを数年前に修理させていただきました。その後、問題なく
動作していますが、元々はワイヤレスのリモコンが使えたそうです。
いつの頃なのかリモコン送信機も紛失してしまい、毎度自動車から
降りての操作は、特に雨の日など大変不自由されてきたようです。
 

ガレージ内外の壁面にそれぞれ操作ボタンがあります。
開放(上昇)、停止、閉鎖(下降)に分かれています。
 

以前の修理は巻き上げ機構の
油切れによる錆び付き・固着でした。

 

シャッタースラットとガイドレールの摺動も劣化して
おり、グリスとオイルを注しまくり復活させました。

 

注油がまだ効いていて昇降はスムーズです。
屋根の角にリモコンのアンテナがあります。

 

以前にリモコン装置が備わっており、実際に使用されていたそうです。
しかし、シャッターボックス内を入念に調べるも、受診モジュールらしき
装置が見当たりません。屋根のアンテナに配線されているケーブルが
残っているので、どこかの時点でモジュールは撤去されたのでしょう。

 

そうなると、元のリモコンの修理ではなく、新たに装置を取り付ける
作業となります。作業方法を調べていると、正にお誂え向きの製品を
見つけました。兵庫県姫路市にあるコムエンタープライズ社が開発・
販売している修理用のシャッターリモコン装置です。時代が既に修理・
修復の段階に入っていることを実感させる実にスマートな製品です。

 

壊れてしまったリモコンの交換用、リモコンの
ないシャッターへの追加用、どちらにも使えます。
 

シャッターボックス内の金属表面を清掃し強力両面
テープで固定します。本体は120gと軽量です。

 

アダプターが付属するので電源工事は不要です。
少し重いのでアダプターの位置を後で変更します。
 

アダプターの電源を取るため、シャッターの
動力用に引き込まれているVVFを分岐させます。

 

手動操作用のスイッチボックスを点検します。
4芯(白・赤・黒・緑)のVCTが配線されています。
 

上から、シャッター上昇・開放(白)、シャッター停止
(橙)、シャッター下降・閉鎖(白)のボタンが並びます。

 

背面右側で、上昇スイッチに白、停止スイッチに赤、
下降スイッチに黒の各コードが接続されています。

 

背面左側の列は、緑のコードが接続され
上昇・停止・下降で共有されています。

 

製品の取扱明書を熟読します。リモコンの取り付け方法もさることながら、
そもそもシャッターを昇降させる制御と配線を理解しなければなりません。
 

なかなか情報量の多い取説です。シャッターのメーカーにより制御方法が
異なり、使用されているスイッチの形式や配線がかなり違います。会社の
WEBサイトにはシャッターメーカーごとの解説もあります。文化シャッター、
三和シャッター、東洋シャッター、トステム、三協アルミなど聞いたことの
ある会社名が並び、配線タイプ(A・B・C・D)を割り出さねばなりません。
 

製品には専用のハーネスが付属し、配線タイプA~Dのいずれにも
対応します。見事に色分けされた12本のコードを、既存のスイッチ
配線に割り込ませます。予めスパイラルチューブでまとめておきます。
 

回路計で調べると、スイッチの上昇・開放ボタン(白)はNO(ノーマルオープン)、
停止ボタン(橙)はNC(ノーマルコンタクト)、下降・閉鎖(白)はNO(ノーマル
オープン)でした。停止ボタンを押すと閉じていた回路が開き、上昇中または
下降中のシャッターが動作を停止します。従って配線タイプはAになります。
 

ハーネスの各コードを末端処理します。元からコード
相互の接続には閉端接続子が使用されてます。
 

ハーネスを割り込ませるには、元の
閉端接続子を切断する必要があります。

 

と、ここで(現場での作業中に)重大なことに気づきます。操作スイッチは
ガレージの内外2か所にあるわけで、前写真のように3本の4芯VCTが
少々複雑に相互接続されています。慌て気味の心を静め、計12本ある
コードの接続関係を割り出します。結果はこの通りで、上昇(開放)と
下降(閉鎖)のスイッチについてはNO(ノーマルオープン)なので、内外の
2個は並列に接続されて問題ありません。ところが、NC(ノーマルコン
タクト)の停止スイッチは、内外の2個が直列接続されなければならず、
配線が工夫されています。シャッター本体制御回路へ接続される4芯
VCTのみ、黒・・白・緑ではなく黒・・白・緑に変更されています。
 

受信モジュール内のスイッチは、多分サイリスタかトライアックでしょう。
上昇(開放)と下降(閉鎖)スイッチ用は、単純に並列に追加するだけで
済みます。停止スイッチについては、直列に2個接続されている経路を
開放して(切り離して)、割り込ませなければなりません。この配線は
停止スイッチが押されていると、上昇・下降スイッチの動作が保証され
ない場合があります。しかし、停止を押しながら上下させることは、あり
得ないわけです。逆に上下を押しながら停止を押すと・・、止まります
 

接続をまちがえないよう、無理をせず元の閉端
接続子を1個ずつ切り離しながら作業を進めます。
 

先端の長さをそれなりに揃えながら
必要なハーネスの接続を全て終えます。
 

元のVCTケーブルにかなりの余裕があり、
受信モジュールのハーネスも長過ぎます。
 

シャッターボックス内に収納場所を探します。ここは
シャッターの昇降に巻き込まれる危険がありダメです。
 

取りあえず3か所ほどビニルテープで束ね、ケーブルが暴れない
ようにしておきます。収納・固定方法は後から考えることにします。

 

受信モジュールにアンテナの接続端子が
あるので、引き込み線をつなぐことにします。

 

元のアンテナ引き込み線はF形プラグ、
受信モジュール側はRCA端子です。

 

F形プラグをRCAジャックに
付け替え、端子に差し込みます。

 

粘着テープ式の配線クリップを
持参してきたことを思い出しました。

 

ケーブルをシャッターボックス点検口の
カバー裏側に固定することにします。

 

除菌用に用意していたアルコール
ティッシュで汚れを落とし貼り付けます。

 

結束ひもを忘れてきたので
ビニルコードの余りを流用します。

 

ケーブルを結束するのではなく
クリップに渡して押さえるだけです。

 

外観も悪くないと思います・・カバーを開けることはまずありませんが。
実はこの時点で既に動作確認済みです。配線に誤りはありません。

 

シャッターボックス内に何か置き忘れ
などないか、もう一度点検・整理します。

 

点検口のカバーを閉じます。
必要な作業を全て終えました。

 

ご依頼主同席のもと、あらためて
リモコンの動作を確認します。

 

開放ボタン(ロック解除)を押すと、
シャッターがゆっくり上昇していきます。

 

シャッターが最上位まで昇降し、完全に開放状態になると
自動的に停止します。元から備わっていた機能です。次に
閉鎖ボタン(ロック)を押すと、逆にゆっくり下降してきます。

 

シャッターが最下位まで下降し、完全に閉鎖状態になるとやはり
元から備わっていた機能により自動的に停止します。
ですが
ガレージから車がはみ出しているので(工房の車です
)停止
ボタンを押して強制的に昇降動作を止めます。正常に機能して
います。かなり離れたところからも電波が届き、操作可能です。


 
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