世田谷区内有数の高級住宅街にお住いの方からのご依頼です。
ご自宅敷地内にあるこのガレージは、開閉(昇降)しなくなっていた
シャッターを数年前に修理させていただきました。その後、問題なく
動作していますが、元々はワイヤレスのリモコンが使えたそうです。
いつの頃なのかリモコン送信機も紛失してしまい、毎度自動車から
降りての操作は、特に雨の日など大変不自由されてきたようです。
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ガレージ内外の壁面にそれぞれ操作ボタンがあります。
開放(上昇)、停止、閉鎖(下降)に分かれています。
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以前の修理は巻き上げ機構の
油切れによる錆び付き・固着でした。
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シャッタースラットとガイドレールの摺動も劣化して
おり、グリスとオイルを注しまくり復活させました。
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注油がまだ効いていて昇降はスムーズです。
屋根の角にリモコンのアンテナがあります。
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以前にリモコン装置が備わっており、実際に使用されていたそうです。
しかし、シャッターボックス内を入念に調べるも、受診モジュールらしき
装置が見当たりません。屋根のアンテナに配線されているケーブルが
残っているので、どこかの時点でモジュールは撤去されたのでしょう。
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そうなると、元のリモコンの修理ではなく、新たに装置を取り付ける
作業となります。作業方法を調べていると、正にお誂え向きの製品を
見つけました。兵庫県姫路市にあるコムエンタープライズ社が開発・
販売している修理用のシャッターリモコン装置です。時代が既に修理・
修復の段階に入っていることを実感させる実にスマートな製品です。
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壊れてしまったリモコンの交換用、リモコンの
ないシャッターへの追加用、どちらにも使えます。
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シャッターボックス内の金属表面を清掃し強力両面
テープで固定します。本体は120gと軽量です。
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アダプターが付属するので電源工事は不要です。
少し重いのでアダプターの位置を後で変更します。
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アダプターの電源を取るため、シャッターの
動力用に引き込まれているVVFを分岐させます。
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手動操作用のスイッチボックスを点検します。
4芯(白・赤・黒・緑)のVCTが配線されています。
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上から、シャッター上昇・開放(白)、シャッター停止
(橙)、シャッター下降・閉鎖(白)のボタンが並びます。
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背面右側で、上昇スイッチに白、停止スイッチに赤、
下降スイッチに黒の各コードが接続されています。
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背面左側の列は、緑のコードが接続され
上昇・停止・下降で共有されています。
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製品の取扱明書を熟読します。リモコンの取り付け方法もさることながら、
そもそもシャッターを昇降させる制御と配線を理解しなければなりません。
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なかなか情報量の多い取説です。シャッターのメーカーにより制御方法が
異なり、使用されているスイッチの形式や配線がかなり違います。会社の
WEBサイトにはシャッターメーカーごとの解説もあります。文化シャッター、
三和シャッター、東洋シャッター、トステム、三協アルミなど聞いたことの
ある会社名が並び、配線タイプ(A・B・C・D)を割り出さねばなりません。
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製品には専用のハーネスが付属し、配線タイプA~Dのいずれにも
対応します。見事に色分けされた12本のコードを、既存のスイッチ
配線に割り込ませます。予めスパイラルチューブでまとめておきます。
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回路計で調べると、スイッチの上昇・開放ボタン(白)はNO(ノーマルオープン)、
停止ボタン(橙)はNC(ノーマルコンタクト)、下降・閉鎖(白)はNO(ノーマル
オープン)でした。停止ボタンを押すと閉じていた回路が開き、上昇中または
下降中のシャッターが動作を停止します。従って配線タイプはAになります。
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ハーネスの各コードを末端処理します。元からコード
相互の接続には閉端接続子が使用されてます。
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ハーネスを割り込ませるには、元の
閉端接続子を切断する必要があります。
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と、ここで(現場での作業中に)重大なことに気づきます。操作スイッチは
ガレージの内外2か所にあるわけで、前写真のように3本の4芯VCTが
少々複雑に相互接続されています。慌て気味の心を静め、計12本ある
コードの接続関係を割り出します。結果はこの通りで、上昇(開放)と
下降(閉鎖)のスイッチについてはNO(ノーマルオープン)なので、内外の
2個は並列に接続されて問題ありません。ところが、NC(ノーマルコン
タクト)の停止スイッチは、内外の2個が直列接続されなければならず、
配線が工夫されています。シャッター本体制御回路へ接続される4芯
VCTのみ、黒・赤・白・緑ではなく黒・茶・白・緑に変更されています。
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受信モジュール内のスイッチは、多分サイリスタかトライアックでしょう。
上昇(開放)と下降(閉鎖)スイッチ用は、単純に並列に追加するだけで
済みます。停止スイッチについては、直列に2個接続されている経路を
開放して(切り離して)、割り込ませなければなりません。この配線は
停止スイッチが押されていると、上昇・下降スイッチの動作が保証され
ない場合があります。しかし、停止を押しながら上下させることは、あり
得ないわけです。逆に上下を押しながら停止を押すと・・、止まります!
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接続をまちがえないよう、無理をせず元の閉端
接続子を1個ずつ切り離しながら作業を進めます。
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先端の長さをそれなりに揃えながら
必要なハーネスの接続を全て終えます。
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元のVCTケーブルにかなりの余裕があり、
受信モジュールのハーネスも長過ぎます。
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シャッターボックス内に収納場所を探します。ここは
シャッターの昇降に巻き込まれる危険がありダメです。
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取りあえず3か所ほどビニルテープで束ね、ケーブルが暴れない
ようにしておきます。収納・固定方法は後から考えることにします。
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受信モジュールにアンテナの接続端子が
あるので、引き込み線をつなぐことにします。
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元のアンテナ引き込み線はF形プラグ、
受信モジュール側はRCA端子です。
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F形プラグをRCAジャックに
付け替え、端子に差し込みます。
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粘着テープ式の配線クリップを
持参してきたことを思い出しました。
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ケーブルをシャッターボックス点検口の
カバー裏側に固定することにします。
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除菌用に用意していたアルコール
ティッシュで汚れを落とし貼り付けます。
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結束ひもを忘れてきたので
ビニルコードの余りを流用します。
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ケーブルを結束するのではなく
クリップに渡して押さえるだけです。
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外観も悪くないと思います・・カバーを開けることはまずありませんが。
実はこの時点で既に動作確認済みです。配線に誤りはありません。
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シャッターボックス内に何か置き忘れ
などないか、もう一度点検・整理します。
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点検口のカバーを閉じます。
必要な作業を全て終えました。
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ご依頼主同席のもと、あらためて
リモコンの動作を確認します。
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開放ボタン(ロック解除)を押すと、
シャッターがゆっくり上昇していきます。
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シャッターが最上位まで昇降し、完全に開放状態になると
自動的に停止します。元から備わっていた機能です。次に
閉鎖ボタン(ロック)を押すと、逆にゆっくり下降してきます。
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シャッターが最下位まで下降し、完全に閉鎖状態になるとやはり
元から備わっていた機能により自動的に停止します。ですが、
ガレージから車がはみ出しているので(工房の車です!)停止
ボタンを押して強制的に昇降動作を止めます。正常に機能して
います。かなり離れたところからも電波が届き、操作可能です。
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